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はじめに

基本用語集(はじめての方へ)

露出・ISO・F値・赤道儀・コンポジット・等級・光害など、天体写真で最初に出会う用語をやさしく定義。

更新: 2026-06-20

天体写真には独特の言葉がたくさん出てきます。意味さえつかめば、撮影もアプリの投稿欄もぐっと分かりやすくなります。

使い方

全部を覚える必要はありません。まずは「撮影の言葉」だけ読み、処理や星の言葉は必要になったときに戻ってきてください。

初心者向け撮影の基本:カメラ設定の言葉

明るさは「露出・ISO・F値」の3つで決まります。この3つの関係を「露出の三角形」と呼びます。

露出(露光時間)
センサーが光を集める時間。長いほど暗い対象が写るが、固定撮影では地球の自転で星が線状に流れやすくなる。秒単位で指定する。
ISO感度
光への敏感さの設定値。上げると暗い場所でも明るく写るが、ザラつき(ノイズ)が増える。数値が2倍で明るさも約2倍。
F値(絞り)
レンズの明るさを表す数値。小さいほど多くの光を取り込めて暗い対象に有利。F2.8はF5.6より約4倍明るい。
焦点距離
どれだけ大きく写るかを決める値(mm)。長いほど望遠で対象が大きく写り、短いほど広角で空を広く写せる。
画角
写真に写る空の範囲。焦点距離が長い(望遠)ほど狭く、短い(広角)ほど広い。
ホワイトバランス
写真全体の色合いの基準。星空では光害の色かぶりを抑えるため、調整して撮ることが多い。
RAW
カメラが記録する未加工データ。JPEGより情報量が多く、あとから明るさや色を大きく調整できる。天体写真では基本RAWで撮る。
EXIF
写真に自動で埋め込まれる撮影情報(露出・ISO・F値・焦点距離など)。StarryPocketに投稿すると読み取って整理に使える。

明るさを決める3要素(露出の三角形)

露出時間:長くするほど明るい(ただし星が流れやすい)ISO感度:上げるほど明るい(ただしノイズが増える)F値:小さくするほど明るい(ただしピントの合う範囲が狭い)
暗い対象が写らないときは、まずF値を小さく、次に露出を少し長く、最後にISOを上げる、の順で試すとノイズを抑えやすいです。
初心者向け撮り方の言葉:固定撮影・追尾・赤道儀
固定撮影
三脚などでカメラを固定したまま撮る方法。手軽だが、地球の自転で長時間露光すると星が線状に流れる。
追尾撮影
地球の自転に合わせてカメラや望遠鏡を動かし、星を点のまま長時間写す方法。暗い天体を写すのに有利。
赤道儀
地球の自転と同じ速さで回り、星を追いかける架台。追尾撮影の中心となる機材。
極軸合わせ
赤道儀の回転軸を天の北極(北半球では北極星の近く)に正確に向ける作業。これが正確なほど長く点像で追える。
ガイド(オートガイド)
別のカメラで星のズレを監視し、赤道儀を微修正して追尾精度を高める仕組み。より長い露光が可能になる。

固定撮影 vs 追尾撮影

固定撮影

  • 三脚だけで始められる手軽さ
  • 費用が安く、すぐ撮れる
  • 長時間露光すると星が流れる
  • 星景・天の川・明るい対象向き

追尾撮影

  • 赤道儀が必要で準備が増える
  • 極軸合わせの手間がかかる
  • 星を点のまま長時間写せる
  • 星雲・星団など暗い対象向き
初心者向け対象の言葉:天体の呼び方
ディープスカイ(深宇宙天体)
太陽系の外にある星雲・星団・銀河などの総称。暗く淡いものが多く、追尾と長時間露光が効果的。
星雲
ガスやちりが集まって光る、または背後の星の光をさえぎる天体。オリオン大星雲などが代表。
星団
多数の星が群れている天体。プレアデス(すばる)のような散開星団と、球状星団がある。
銀河
無数の星が集まった巨大な天体。アンドロメダ銀河(M31)が肉眼でも見える代表例。
メシエ天体
18世紀にメシエがまとめた明るい天体のカタログ。M1〜M110まであり、初心者の撮影目標として人気。
星景写真
地上の風景と星空を一緒に写した写真。広角レンズと固定撮影で始めやすい。
初心者向け明るさと空の言葉:等級・光害・シーイング
等級(光度)
星の明るさを表す数値。数字が小さいほど明るく、肉眼で見える限界はおよそ6等。1等違うと明るさは約2.5倍。
光害(こうがい)
街明かりが夜空を明るくし、暗い星や星雲が見えにくくなる現象。空が暗い場所ほど淡い対象が写りやすい。
シーイング
大気のゆらぎによる星のまたたき具合。良いほど像がくっきりし、月・惑星の高拡大撮影で特に重要。
透明度
大気の澄み具合。高いほど暗い対象まで写りやすい。シーイングとは別の指標。
月齢
新月からの日数。満月に近いほど月明かりで空が明るくなり、淡い星雲・銀河は撮りにくくなる。
淡いディープスカイを狙うなら、新月前後で月明かりの少ない夜を選ぶと写りが大きく変わります。
上級者向け処理の言葉:コンポジット・キャリブレーション

天体写真は、撮ったあとに複数枚を重ねて仕上げるのが基本です。ここでは処理の用語をまとめます。

コンポジット(スタック)
同じ対象の複数枚を位置合わせして重ね、ノイズを減らして淡い部分を浮かび上がらせる処理。天体写真の要。
ライトフレーム
対象を写した本番のコマ。これを多数撮って重ねるのが基本。枚数が多いほど滑らかになる。
ダークフレーム
レンズにフタをして同条件で撮るコマ。センサー由来の固定ノイズや熱ノイズを差し引くのに使う。
フラットフレーム
均一な明るさを撮ったコマ。周辺減光(四隅の暗さ)やゴミ影を補正するのに使う。
バイアスフレーム
最短シャッターで撮るコマ。読み出し時に出る基準ノイズを補正するのに使う。
ストレッチ
暗く写った淡い部分を強調するため、明るさの分布を引き伸ばす処理。星雲を浮かび上がらせる中心工程。
ノイズ
画像のザラつき。ISOを上げる、露出が短い、枚数が少ないと増える。コンポジットで効果的に減らせる。
キャリブレーション
ダーク・フラット・バイアスを使って、センサー由来のノイズや周辺減光を補正する工程。重ねる前の下準備にあたる。

ディープスカイ処理の基本フロー

ライトフレームを多数撮影するダーク・フラット・バイアスで補正する(キャリブレーション)位置合わせして重ねる(コンポジット/スタック)ストレッチで淡い部分を強調する色や仕上げを整えて完成
上級者向け機材と発展の言葉
屈折望遠鏡
レンズで光を集める鏡筒。星像が安定し扱いやすいが、口径が大きくなると高価になりやすい。
反射望遠鏡
鏡で光を集める鏡筒。同じ口径なら安価だが、光軸調整(コリメーション)が必要。
口径
望遠鏡の主レンズ・主鏡の直径。大きいほど多くの光を集め、暗い対象や細部に有利。
ナローバンド撮影
特定の波長だけを通すフィルターで撮る方法。光害下でも星雲のコントラストを高く写せる。
結露(夜露)対策
夜間にレンズや鏡筒が冷えて曇る現象を、ヒーターなどで防ぐこと。長時間撮影で重要になる。
Platesolving(プレートソルビング)
写真に写った星の配置から、その画像が空のどこを向いているかを自動で特定する技術。天体の同定に役立つ。
用語をもっと文脈で理解したいときは、関連記事の「はじめての1枚」や撮影・画像処理カテゴリを合わせて読むと定着します。

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