コンポジット(複数枚を重ねる)
同じ対象を何枚も重ねてノイズを消し、淡い星雲を浮かび上がらせる中核技術。
- 初心者向け
- 約2分
コンポジット(スタック)は、同じ対象を撮った複数枚を位置合わせして重ね、平均する処理です。天体写真の画質を決める最も重要な工程です。
- コンポジット(スタック)
- 同一対象の複数枚を重ね合わせて合成すること。ランダムノイズが平均化され、淡い対象が見えてくる。
ライト撮影ダーク減算フラット除算位置合わせスタック現像
01
まずは:なぜ重ねると良くなるのか
1枚の写真には、星雲などの「本当の光」と、ランダムに散らばる「ノイズ」が混ざっています。
- 本当の光は毎枚ほぼ同じ位置に写る
- ノイズは毎枚バラバラに出る
- だから重ねて平均すると、光は残りノイズは打ち消し合う
- 1同じ対象・同じ設定で複数枚撮る
- 2スタックソフトに読み込む
- 3ソフトが星を基準に各枚を自動で位置合わせする
- 4重ね合わせた1枚を書き出す
02もっと詳しく:SN比とスタック法
ノイズの改善量はおおよそ「枚数の平方根」に比例します。4枚で約2倍、16枚で約4倍、SN比(信号対雑音比)が改善します。
- SN比(信号対雑音比)
- 本当の光(信号)とノイズの比。大きいほど淡い対象がノイズに埋もれず見える。
| 枚数 | ノイズ改善の目安 |
|---|---|
| 4枚 | 約2倍 |
| 9枚 | 約3倍 |
| 16枚 | 約4倍 |
| 100枚 | 約10倍 |
平方根に比例するため、枚数を増やすほど1枚あたりの効果は逓減します。16枚から36枚へ倍以上に増やしても改善は約4倍から6倍までです。効率と労力のバランスで上限を決めましょう。
重ね方(合成アルゴリズム)の選択
平均
- 最もノイズが下がる(理論限界に近い)
- 計算が単純で速い
- 飛行機・人工衛星の軌跡がそのまま残る
- 外れ値の混入に弱い
シグマクリップ
- 各画素で外れ値だけ除外してから平均
- 軌跡・宇宙線・薄雲のコマを自動で弾く
- 枚数が多いほど判定が安定する(目安10枚以上)
- 除外する分わずかにノイズ改善は劣る
- 平均:最もノイズが下がるが、飛行機や人工衛星の軌跡が残りやすい
- 中央値(メジアン):外れ値に強く、軌跡を消しやすいが効率はやや落ちる
- シグマクリップ(カッパシグマ):外れ値だけ除外して平均する。枚数が多いとき有効