206265 は 1 ラジアンの秒角。例:画素ピッチ 4µm・焦点距離 50mm → 約 16.5 arcsec/px
Platesolving(天体自動特定)とは
写真の星の並びから「何が写っているか」を自動で割り出す仕組み。
- 初心者向け
- 約6分
- Platesolving(プレートソルビング)
- 写真に写った星の位置関係を、星表(カタログ)の既知の配置と照合し、その写真が空のどこを向いているか(座標)を特定する技術。
Platesolving を使えば、写っている天体を手作業で調べなくても自動で割り出せます。Pro 限定の機能ではありません。無料プランは月3回、Star は月20回まで使え、Pro は回数無制限のうえ投稿時に自動で実行されます。
まずは:使い方の流れ
むずかしい設定は要りません。Pro は、星が点として複数写った写真を投稿すると判定が自動で始まります(ボタンを押す必要はありません)。無料・Star プランでは、写真の詳細画面から自分で実行します。月の残り回数を使い切ると、翌月まで待つか上位プランに変えることになります。
- 1星がはっきり点像で写っている写真を、いつもどおり投稿する
- 2判定(解析)が自動で始まる。少し待つと結果が出る
- 3写真の詳細画面で、判定された天体名と写野の座標を確認する
- 4正しければ、そのまま図鑑への記録などに活用する
02もっと詳しく:仕組みと成功させるコツ
Platesolving は、画像から星を検出し、星どうしの相対位置のパターン(三角形などの幾何学的特徴)を作ります。これを星表側の同じパターンと照合し、一致すれば画像の中心座標・向き・写野の角度(スケール)が分かります。
- 写野(ピクセルスケール)
- 1ピクセルが空のどれだけの角度に対応するか。焦点距離とセンサーの画素ピッチで決まり、解の探索範囲を絞る手がかりになる。
解けやすくする条件
- ピントが合い、星が点像で複数(最低でも数個以上)写っている
- 強い星像の流れ(追尾エラー・固定撮影の線状化)がない
- 過度なトリミングをしていない(星の数が十分残っている)
- 極端な歪曲や強い周辺収差が少ない
解けたあとに分かること
- 写野の中心座標(赤経・赤緯)と、写っている範囲のおおよその広さ
- 画角内に入っている著名な天体(星雲・星団・銀河など)の名前
- 画角内を通る星座。点像の写真では、星座線や天体名を重ねた表示で位置関係を確認できる
図鑑との連携
対象が特定できると、図鑑(コレクション)にどの天体を撮ったか正確に記録できます。集め方は「図鑑・コレクション」を参照してください。
03さらに深く:画角・EXIF・星座線オーバーレイ
上級者向けに、解の安定とオーバーレイ活用を一歩深く掘り下げます。仕組みは前節のとおりで、ここでは画角の数値感、EXIF 焦点距離、対応形式と再解析、星座線オーバーレイを扱います。
画角(ピクセルスケール)の数値感をつかむ
- フルサイズ+50mm → 約 40°×27°(広め・星が多い)
- フルサイズ+200mm → 約 10°×7°(狭い・星が少なく密集)
- 焦点距離が長いほど写る星は少なくなり、照合に使える星を確保できているかが効いてくる
EXIF(焦点距離)を残すと速く確実
焦点距離が分かると画角の見当がつき、解の探索範囲を絞れます。RAW 現像や他アプリでの再保存で EXIF が消えると、より多くの星と良好な点像が必要になります。
対応形式と再解析の挙動
- 解析できるのは JPEG / PNG。HEIC など一部の形式は解析できません(JPEG/PNG で投稿し直すと解析できます)
- 解析は投稿時に自動で始まり、状態は「解析中…」と表示されます。状態と結果が見えるのは本人だけです
- 「再解析する」を押しても、前回より良い解が出ないときは前回の結果を維持します(押しても悪化しません)
星座線オーバーレイで答え合わせ
解けた写真では、詳細画面で星座線を重ねて表示できます(ログインが必要)。写っている星と星座線の対応を見れば、同定結果が構図と合っているかを目視で確かめられます。
- 出典は「現在の星座線」と「日本由来の星座線」を切り替えられます。同じ星でも結び方(線の引き方)が異なります
- 結果の天体名や星座が構図と食い違うと感じたら、トリミング前の元カットや星の多い別カットで再解析するのが近道です
出典のクレジット
星座線データは Hipparcos 星表に基づきます。「現在の星座線」は Stellarium / Sky & Telescope(CC BY-SA 2.0)由来です。
04技術仕様:座標系・出力値・アルゴリズム
この機能が扱う座標系と、解析が出力する値、同定の方式を技術仕様としてまとめます。
座標系
- 座標は赤道座標系(赤経 RA / 赤緯 Dec)、元期は J2000.0
- 表すのは写野が向いていた天球上の位置で、撮影地の緯度経度ではありません
- 出力は画像中心の赤経・赤緯と、画角の外接円半径(度)
ピクセルスケールと画角
ピクセルスケール(1 ピクセルあたりの角度, arcsec/px)は焦点距離とセンサーの画素ピッチで決まります。
解析が出力する値(WCS)
- 画像中心の赤経・赤緯
- ピクセルスケール(arcsec/px)
- 回転角(orientation):画像の上方向が天の北からどれだけ傾いているか
- パリティ:像が鏡像(左右反転)かどうか
- 画角(外接円半径, 度)
同定アルゴリズム(画角内の天体)
- 画角内の候補を赤緯帯で粗く絞り込み、単位ベクトルの内積による球面角距離で内包を厳密に判定
- 中心に近いほど高い信頼度(confidence)を与え、しきい値未満は採用しない
- 天体の見かけサイズ(長径)も考慮する
星座線オーバーレイの逆投影
- 天球座標→画像ピクセルは gnomonic(接平面)投影。接点は画像中心
- 広角・超広角のレンズ歪みは多項式(SIP 相当)で周辺まで補正する